腸内には、多様な種類の菌が
兆単位で生息しており、
お花畑に例えて「腸内フローラ」と呼ばれる、
環境を作っています。
そして、
この絶妙な腸内細菌のバランスが
崩れると、様々な病気の原因になったりします。
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今回は、
難病治療法として注目を集めている
「糞便移植」をテーマに、
以下のトピックでお届けします。
今糞便移植が注目されるのは何故?
最近、便移植が脚光を浴びる
背景となった病気があります。
「潰瘍性大腸炎」です。
高橋メアリージュンさんや、
過去には安倍首相も患ったこの病気は、
大腸の内側の粘膜にびらんや
潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。
この病気は原因がわからず
再発しやすいために「特定疾患」、
つまり「難病」に指定されています。
そして、
重篤な「潰瘍性大腸炎」は
薬物治療が難しいとも言われています。
日本でも10万人を超える患者さんがおり、
その数は年々増加傾向にあって、
「潰瘍性大腸炎」の患者数は
今では16万人に達しているそう。
薬で炎症をコントロールする方法もあるものの、
重症な場合は大腸を摘出する手術が
行われることもあるこの病気。
その治療法として、
最近注目されているのが「大便移植」なのです。
糞便移植の方法は?
なんともインパクトのある名前ですが、
その名前のとおり、
「便移植」とは、便を移植する治療。
そして、
その目的は、患者さんへ、
健康な人の腸内細菌を移植することにあります。
通常、便移植は、
健康な人から採取した便に、
生理食塩水を加えてろ過した溶液を、
患者さんの腸に内視鏡で注入する方法で
行われます。
出典:http://www.ho.chiba-u.ac.jp/frontier/frontier06.html
便移植は、英語では”fecal transplantation”と呼ばれ、
欧米では日本に比べて治療法として
浸透している様子。
日本では、「便移植」の他に、
「糞便移植法」や「便微生物移植」と
呼ばれ、数年前から医療現場でも
臨床試験段階に入っており、
今後治療の選択肢として広がりを見せる
可能性があります。
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糞便移植の効果はあるの?成功率はどのぐらい?
「便移植」の効果は、
実施対象の70~80%の患者に
対する効果が認められており、
このことは、100%ではないものの、
かなりの割合で、治療効果が得られる
可能性があることを示唆しています。
ちなみに、
現在日本では、倫理的な観点から
ドナーに以下のような条件が設けられています。
●20歳以上であること
●患者の2親等以内の親族や配偶者であること
糞便移植の実施病院施設は?
現在、日本では以下の施設で臨床研究が行われています。
特に、順天堂大学や千葉大学のサイトには、
担当ドクターの名前が写真入りで掲載されており、
便移植のプロセスも説明されていました。
●慶應義塾大学医学部
消化器内科
金井隆典Dr
●順天堂大学医学部附属順天堂医院
消化器内科
石川大Dr
2014年6月より抗生剤療法(ATMかAFM療法)と糞便移植療法の併用療法を臨床研究としてスタートしました。対象は20歳以上の潰瘍性大腸炎の患者さんです。
問い合わせは消化器内科 火曜日午前の石川外来で対応しております。
●千葉大学医学部付属病院
消化器内科
中川倫夫Dr
潰瘍性大腸炎に悩む18~70歳の患者さんを対象に治療しています。関心のある患者さん、医療機関の方は、お問い合わせください。
【お問い合わせ】
消化器内科・中川電話:043-222-7171(代表)
注目される便移植
糞便移植は、2016年1月12日に
「たけしの健康エンターテイメント!
みんなの家庭の医学 先取り健康法&便移植SP」
でも取り上げられるなど、
期待とともに注目されています。
他人とはいっても、2親等ということであれば、
祖父母や兄弟姉妹だけでなく、
孫まで含まれるので、それなりに
選択肢は用意されています。
他人の便を、自分の腸に注入する、
という行為そのものに着目すると勇気がいりますが、
健康をとりもどすための治療の一環と考えれば、
またひと味違って見えるかもしれませんね。
糞便移植の保険適用と料金は?
便移植は、現状保険適用の対象とはなっていません。
そのため、治療を受けた場合の
自己負担額が気になるところです。
このうち、各種大学病院では
治療にかかる費用が明示されていませんでしたが、
唯一、京都健康クリニック内に
以下のような料金表を見つけました。
「腸内フローラ移植(便微生物移植) ¥880,000〜1,200,000」
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